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食客

2008年にSBSから放送された韓国ドラマ。もともとは漫画でしたが、
ドラマ化したものです。韓国の宮廷に「待令熟手」(テリョン・スクス)として
王の寵愛を受けていた料理人・一族がいました。

彼らの作る料理は魔法といっていいほどの魅力を持ち、その腕には、
どんな料理人もかないません。技は一族を通して代々受け継がれました。

ところがその一族が没落。末裔であるソンチャンは孤児となり、
山奥で貧しく暮らしてました。ソンチャンが十才になった時、
一族の過去を知る料理人が彼を引き取りに来ました。
その料理人は韓国随一の宮廷料理店「雲巌亭」の経営者。

新しい父はソンチャンを我が子のように育てます。実子二人も、
ソンチャンを受け入れました。長男ボンジュ・次男ミヌ、そして三男に
ソンチャン。ソンチャンは自分が「テリョンスクス」の血を
引いてることを知らずに育ちます。

やがて三人は成長し、雲厳亭の後継者を決める時が来ました。
周囲の目は実子で長男のボンジュに集まります。ですが実力は
ソンチャンが遥かに上。料理に対するヒラメキ、情熱。
血ゆずりのものがあったのです。

それを見抜いていた父は、彼にも後継者として名乗り出るよう、
勧めます。結果、兄弟三人とも後継者に名乗りを挙げることになりました。
父は彼らにさまざまな試練を課し、それを乗り越えさせようとします。

最初は余裕があった長男ボンジュでしたが、徐々にソンチャンの実力を
思い知らされ、焦ってきます。父が実子である自分よりソンチャンを
可愛がっていることにも不満でした。

遂には自分が密かに心寄せてた父の秘書すら、ソンチャンに想いを
寄せてることを知り、愕然。後継者争いは次第に恋のバトルへ。

雲厳亭の後継者争いはマスコミの報じるところにもなり、世間の注目が
集まります。ところが、もともと料理好きでも、世間的名声に興味のなかった
ソンチャンは、今まで優しくしてくれたボンジュが自分をライバル視することに
耐えられず、「雲厳亭」を出奔。さて後継者争いは・・・

主人公ソンチャンを演じたのはキム・レウォン。「屋根部屋のネコ」で、
ダメ学生を好演。その後「君はどの星から来たの」では田舎娘に
惹かれる若き映画監督を演じました。

作品ごとに演技の幅が広がっていくキム・レウォン。この作品の後に、
軍隊に行ってしまいました。ですがもう帰って来てる頃。
彼が次にどんな姿を見せてくれるか、楽しみですね。

夏の香り

2003年にKBSから放送されたドラマ。ユン・ソクホ監督の四季シリーズの
三作目。「秋の童話」「冬のソナタ」に次ぐものです。
イタリアで美術を学び、帰国したばかりのミヌは、
昔の恋人を忘れられません。

彼女は心臓を悪くして亡くなりました。イタリア留学も、ある意味で、
その想い出から逃れるため。帰国してもすぐに仕事をするわけでなく、
自由な生活を送ってました。

そんなミヌは夏の登山で美しい女子に出会います。へウォンという名前。
彼女は足をくじいて歩けなくなり、ミヌが近くの山小屋まで、
彼女をおぶって連れていきました。

二人はそこで一晩を過ごすことになります。ロマンチックな展開になるかと
思いきや、インスタント・ラーメンを二人で食べ、その後、トイレに行ったりと、
現実的な場面を描写するのは、さすが韓ドラ。

足をくじいたへウォンは、ミヌを一目見た途端、心臓がドキドキすることを
抑えられませんでした。どうしてだろう? 彼女は思います。しかも彼女は、
幼馴染である、チョンジェという有能な実業家と婚約したばかり。
ミヌにも「あたし、婚約してるの!」と指輪を見せつけます。

へウォンはフローリストとして、花の装飾の仕事をしてます。ミヌも美術の
知識を生かして、アート・ディレクターとして活躍し始めます。
そんな二人は、あるリゾート・プロジェクトで再会し、一緒に
仕事することになりました。その企画・責任者がなんと、
へウォンの婚約者チョンジェ。

チョンジェは、二人の間の淡い気持ちに気づきます。けれど、まさか
へウォンに間違いはないだろう。そう安心してもいます。彼は心広く、
二人が一緒に仕事をするのを見守ることにしました。

チョンジェの妹チョンアは、ミヌの大学での後輩。ミヌが恋人を失い、
一人でいることも知ってます。チョンアがミヌに寄せる想い。けれど、
ミヌの中では、へウォンがだんだん大きくなっていきます。

やがて、思いがけない事実が判明します。へウォンは今でこそ健康ですが、
昔、体が弱く、満足に走ることもできませんでした。そして受けた
心臓移植手術。その手術のおかげで今、元気でいられます。

ところが、その心臓の提供者が、実はミヌの元恋人。ヘウォンの中で
鼓動してる心臓は、ミヌを今だ想っていたのです。今を生きるヘウォンに、
元恋人の記憶が移ってきます。婚約してるんだ、と思いこもうとしても、
元恋人の気持ちを消すことができません。

そして、そんな自分の内的な声に、ヘウォンはだんだん従い始めます。
彼女とミヌは接近。そんな彼女に、ミヌを愛し始めていたチョンアは。

うちの兄さんのことを、どう考えてるのよ!

たくましいミヌに、ソン・スンホン。
フローリストのヘウォンに、ソン・イェジン。
デキる実業家に、リュ・ジン。
そして、かわいい妹役に、ハン・ジヘ。

全羅南道の美しい夏の茶畑を背景に繰り広げられるドラマ。
ストーリー展開が面白く、俳優たちの繊細な演技にも助けられて、
一級の作品に仕上がってます。

ちなみに実業家を演じたリュ・ジンは「冬ソナ」で恋敵役を演じる予定でした。
ところが配役決定・直前で、ペ・ヨンジュンが「ヨンハとやりたい」と言い出し、
パク・ヨンハに決まったそうです。今でこそ、冬ソナのサンヒョクには、
ヨンハしかないイメージですが、当初はそうだったのですね。

私の名前はキムサムスン(2)

テハンノ(大学路)に見に行きました。夕方五時・開演。一万ウォン。
同じタイトルのドラマを基にした演劇。パティシエ(ケーキ職人)のサムスンは、
ヘンな響きの名前がイヤでたまりません。彼女がクリスマスの夜、
恋人にフラれるところから舞台が始まります。

恋人に振られた一因が、自分の名前にあると考えたサムスン。
今度は「ヒジン」という名で、あるホテルのパティシェとして
働き始めます。ホテルの若き社長サムシクと
偶然、知り合ったからでした。

社長サムシクは母親から結婚を迫られていて、それを断るために
サムスンに契約恋愛を申し込みます。サムスンも実家の経済困窮を
救うため、五千万ウォンの契約に乗ります。二人は恋人になりました。

契約にしても、なんで私を選ぶの?

サムスンが聞くと。

あなたなら、決して好きになりそうにないから。

ある日、二人のレストランに、サムスンの後輩女子が登場。その女子が
連れてきた婚約者がなんと、クリスマスにサムスンをふった元恋人。
最初は知らないフリをしていたサムスンでしたが、
二人きりになった時。

私と別れていくらも経たないのに、婚約するってどういうこと?

詰め寄ります。元恋人もサムスンに新恋人が、できてるのを見て
ショックを受けたようです。この元恋人がその後、サムスンを
頻繁に訪問するようになり、あろうことかサムスンに。
「オレたち、もう一度始めよう。」

もちろん、それに乗るサムスンではありません。一方、社長サムシクにも、
かつての恋人ヒジンが登場。ヒジンは体を悪くし、サムシクに
心配させまいと何も言わずに数年間、姿を消してたのでした。

今、その真相を話し「もう一度やり直しましょう」と話すヒジン。しかし、
サムシクの心は、いつしかサムスンに傾いてました。
元恋人が社長サムシクに言うセリフ。

サムスンの魅力。それは自分の魅力が何なのか、
自分で分かってないトコだよ。

ドラマではサムシクのセリフでしたが、演劇では恋敵のセリフに。
社長サムシクはサムスンに想いを告げ、二人はくっつきます。
サムシクと別れたヒジンにも、ダニエルという
アメリカ人が寄り添います。

ヘイ、ボクの名前はダニエル。

彼が登場した時、観客がみんな笑ってました。ドラマでは、
このアメリカ人は「ヘンリー」という名前。その役を演じたのが
ダニエル・ヘニーだったことを、みんな知ってたからでしょう。

劇が終わって帰ろうとすると、メイクを落とした俳優たちが玄関にいました。
面白かったですよ。私はそう言って劇場を出ました。
私の名前はキムサムスン

屋根部屋のネコ(3)

ソウル北部にあるテハンノ(大学路)は演劇の街。地下鉄・四号線の
フェハ(恵化)駅を降りると、演劇ホールがいくつも並んでます。

ずっと見たかった「屋根部屋のネコ」。夜八時・開演。三万ウォン。
演劇の値段としては高い方。人気があるのでしょう。中に入ってみると、
もう満員。男子ギョンミンと女子ジョンウン。二人は不動産屋の手違いで、
同じ「屋根部屋」(オクタッパン)を契約。

契約はギョンミンの方が早かったのですが、引っ越しはジョンウンが先。
どっちに権利があるか、数日もめた後「だったら一緒に住もう」
ということに。もうこの辺で、ドラマとはかなり違う展開。

一緒に住むことにはなったけれど、ケンカばかりしてる二人。
女子ジョンウンは作家志望。けれど、さっぱり、良い作品を
書くことができません。そんな彼女の書きかけの原稿を見て、
首をひねるギョンミン。彼もフリーター。

ただギョンミンにはハイソなガール・フレンドがいました。
そのガールフレンドの存在に、ジョンウンも気づいてます。

そこに雄ネコ・ムンチと雌ネコ・キョヤンイが登場。
雌ネコ・キョヤンイに女子ジョンウンが言います。

故郷のテグからお父さんが来た。もう帰って来いって。

するとキョヤンイが言います。

アタシがまだ人間の手の平より小さかった頃、
みんながアタシを可愛がって、エサをくれたわ。
アタシが人間の手の平より大きくなった頃、
みんながアタシに構わなくなり、アタシを捨てたの。

どっちへ行っていいかも分かんない時、ムンチがエサをくれた。
慰めてくれた。あいつなら、アタシがどうなっても、
アタシのこと愛してくれる。

「ホンとに大切な人が誰かを知りなさい」というネコからのセリフ。
涙ながらの演技に涙する観客もチラホラ。屋根部屋に戻ってきた
男子ギョンミン。テグからジョンウンの父親が来たことは知ってます。

てっきり彼女は父親と一緒に帰ったんだろうと思って「ジョンウン!」と
空に叫ぶと「何よ」オクタッパンからジョンウンの声が。

あれ。おまえ、テグに帰ったんじゃなかったのか?
明日、帰ることになった。今、片付けてるトコ。

そんなジョンウンにギョンミンが言います。

おまえ、テグに帰るの、やめろ。
なんで?
なんでって・・・いや、一緒にいた方が何かと便利だろ。ゴハン作るのも楽だし・・・
そんなの、理由になんない。

また片付け始めようとするジョンウンに、ギョンミンが背中から言います。

サランヘ!
あなた、今なんて?

ジョンウンが振り向きます。そんな彼女を優しく抱きしめ、
キスを浴びせるギョンミン。観客からは声が上がります。

あたし、あなたのガール・フレンドみたいに可愛くない。いい香水も付けてない。
おまえも、いい匂いがするよ。
でも、あの子ほど可愛くない。
いい匂いがするよ。
可愛くないんだよね。
いい匂いがするよ。
やっぱ、可愛くないんだ。
可愛い匂いがするよ。

観客の爆笑。そんな二人を見守る雄ネコ・ムンチと雌ネコ・キョヤンイ。
彼らも「一緒に生きていこう」と手を握るのでした。最後に、
男子ギョンミンが女子ジョンウンに言います。

オレたち、今までただのルーム・メイトだったよ。
けれど、これからはハート・メイト、いやソウル・メイトなんだ。

魂のソウルと、街のソウルをかけたニクいセリフ。
観客の拍手が鳴り止みませんでした。

屋根部屋のネコ・1
屋根部屋のネコ(2)
屋根部屋のネコ

秋の童話

2000年に「KBSミニシリーズ」として放送。ユン・ソクホ監督「四季シリーズ」
第一弾。アジアに韓流ブームを巻き起こすキッカケとなりました。

日本では「冬ソナ」で韓流ブームが起きましたが、韓国本国、
他のアジア地域でも、この「秋の童話」がきっかけ。今もソウルを歩くと
「秋の童話」という喫茶店を見つけたりします。

裕福な家庭に仲のよい兄ジュンソ、妹ウンソがいました。ジュンソは
絵が得意で、彼に絵を描いてもらおうと女子生徒が集まってきますが、
全て断ります。心には妹のウンソがいたからです。

ところが妹のウンソが実は出生時、他の赤ちゃんと入れ替わってたことが
判明。病院の手違いで、入れ替わってた相手はウンソの同級生。

結局、育ちよりも血が優先され、ウンソと同級生は再び入れ替わることに。
ウンソは裕福な家庭から貧しい家庭に移され、そこには不良の兄も。
ホンとの娘を迎えたジュンソの家庭も今までの地にいたたまれず、
アメリカに移住。

月日は流れ、貧しいウンソはキレイな女性に成長。大学進学を断念した
彼女は地元のホテルで従業員として働き始めます。その彼女の前に
現れたジュンソ。アメリカから帰国後、美術教師をしてました。

何年ぶりかで出会う、血のつながってないかつての兄妹。
自分にはこの人しかいないと、二人とも悟ります。

ところがアメリカ帰りのジュンソには既に婚約者がいました。
ホテルで働くウンソにもホテル所有者の御曹司テソクが求婚。
そんな時、ウンソの体に不調が・・・

よく働く美しいウンソを演じたのはソン・ヘギョ。
繊細な美術教師を演じたのはソン・スンホン。
ホテル御曹司テソクを演じたのはウォンビン。
まさに「元祖・韓流」のメンバー。

ロケは全て韓国北東部・江原道で撮影。季節が秋なのでモミジが美しい。
紅葉が美しいのは日本だけと思ってましたが、韓国の風景も
負けてませんね。

ウンソを失くした後、抜け殻のようになったジュンソに、
恋敵テソクが話しかけます。

おまえ、これからもしっかり生きていけよ。
ああ、そう彼女と約束したからな。
いいなあ、おまえにはそんな約束があって。

チャラチャラした御曹司のように見えて、ホンと一途なテソクを演じた
若きウォンビン。彼の元気な演技が光りました。冬ソナのパク・ヨンハも
そうでしたが、恋敵の存在感が大きいほど、悲恋は輝きを増します。

善徳女王

2009年にMBCから放送された時代劇。全六十二話。「シンラ」(新羅)時代、
ソラボル(現・慶州)の宮廷に双子の姫が生まれます。シンラ伝説では、
双子が生まれることは縁起が悪く、王室存続に関わる問題となりました。

結局、トンマンと名付けられた姫は、火事に乗じて人知れず宮廷から
連れ出されます。トンマンの世話を任された侍女は、彼女の母親となり、
二人は朝鮮半島を離れ砂漠を旅します。

場所はハッキリ分かりませんが「この道はローマまで続いている」という
話が出てきますから、恐らくシルクロードが舞台。砂漠シーンはドラマの
筋立てとはあまり関係ないのですが、そこにシッカリと力点を
置いてるため、朝鮮半島を舞台とした後のドラマに、
大きな奥行きが出てきます。

トンマンは母親とともにソラボルに帰還。そこでシンラの武士集団
「ファラン」(花郎)に男のフリをして加わります。ファランのリーダーはユシン。
流れ者だけど武芸に秀でるピダムに、トンマンが出会ったのも、この頃。

当時、シンラのソラボルは、前王の側室ミシルが支配。事実上、
全ての権力がミシルにあったのです。やがてトンマンは自分が
王女の身分であることを知ります。ファランたちも、今まで自分たちの
一員と思ってたトンマンが王女と知り、今までの態度を改めます。

血統上、トンマンの皇位継承権は疑いようがなく、権力者ミシルも
トンマンに従うフリをします。が、そこは面従腹背。ミシルとトンマンの、
女の意地をかけた権力闘争が始まります・・・

トンマンを演じたのはイ・ヨウォン。スレンダーな彼女は、
男役もこなすトンマンにはピッタリでした。

しかし、このドラマの高視聴率を支えたのは何と言っても、悪女ミシル役の
コ・ヒョンジョンの演技でしょう。実際、ミシルが画面に登場するだけで、
緊張感が伝わってくるほどの存在感を見せました。
ドラマの最後は善徳女王の回想シーンで終わります。

まだ少女の私がソラボルに戻ってきた時、ある女人が私に近寄ってきて
何か言ったのよ。その人のこと、誰だかずっと分からなかったし、
彼女が言ったことも、ずっと理解できなかった。けれど今、
人生の終わりになってようやく分かる気がする。

その女人とは? そして彼女がトンマンに語った言葉とは?

大丈夫

チャン・ヨンヒが育ったのは、ソウル・東大門・近くの貧しい路地。
彼女は幼い頃、小児マヒを患い、松葉杖で歩くことを強いられました。

けれど近所の子供たちは、そんな彼女に配慮して、かけっこの時、
彼女に審判を任せたり、かくれんぼの時、予め隠れる場所を教えたり。
そんな彼女のエッセイ「大丈夫」から。

その路地でのことだった。小学校・一年の時だったと思う。ある日、
私のクラスが少し早く終わったので、私は一人で家の前に座っていた。

するとその時、ちょうどゴマ飴売りが路地を通ってきた。
そのオジサンは、ハサミをカチャカチャさせながら、
松葉杖を横に置いて門前に座ってる私をチラッと見て、
そのまま通り過ぎていった。

そうしてから、リヤカーを置いて、また戻ってきて、私にゴマ飴を二個、
差し出した。一瞬、オジサンと私の目が合った。オジサンは何も
話さなかったが、ほんの少しの間、笑顔を浮かべて言った。

大丈夫(ケンチャナ)。

何が大丈夫なのか分からなかった。お金を払わず、ゴマ飴を無料で
もらっても大丈夫ということか。松葉杖をついて生きても、大丈夫ということか。
しかし、そんなことは重要ではない。重要なのは、私がその日、
心を決めたということである。

この世はそれなりに生きるに値する場所であり、良き友がいて、
善意と愛があって「大丈夫」という言葉のように、許しと寛容さが
ある所だと信じ始めたことである。

生きてきた奇跡・1

チャン・ヨンヒのエッセイ集「生きてきた奇跡 生きていく奇跡」。
彼女は障害を乗り越え、博士号を取得し、大学で英文学を教えました。

朱蒙(チュモン)

2006年にMBCから放送された時代劇。全八十一話。紀元前、高句麗
(コグリョ)を建国した伝説王、チュモンの生涯。当時、朝鮮は漢の支配を
受けてました。その支配に対抗し、独立しようという機運が高まります。

解放軍の中心にはヘモス将軍がいました。扶余(プヨ)の皇太子クムワも
彼と行動を共にします。しかしクムワは皇太子の立場から、
ヘモスと決別せざるを得なくなります。

ヘモスはその後、敵の罠にはめられ、殺されます。ところがこの時、
部族民の娘ユファにヘモスの子が宿っていました。

皇太子クムワは娘ユファを側室として迎え、ヘモスの子、チュモンを
我が子として受け入れました。ヘモスの遺志をチュモンに
託そうとしたのでした。

ところがこのチュモン。二人の兄と比べて情けなく、至る所で問題を
起こします。兄たちからも苛められ、宮廷を追い出されてしまいました。

チュモンはヨンタバル商団に入り込み、あちこちを旅して回ります。
そして武芸の必要性を悟りました。そんな時、彼はある洞穴で、
フシギな人物と出会います。目が見えないし、
自分が誰かも定かでない人物。

しかし気配だけで相手の動きを察し、目が見えなくても卓越した武芸で
相手を圧倒。若いチュモンには手も足も出ません。
彼は、この変わった人物に彼は師事。

おまえ、弓が得意そうだな。

そう言われてチュモンは弓の訓練に励みます。

目が見えなくても的に当てるつもりでやれ。

チュモンは師匠の指導に従いました。そして、百発百中の弓名人へと成長。
やがて「もうおまえに教えることはない」と言われるようになります。

わしは昔、大業をなそうとあっちこっちを駆け巡ったもんだ。
そんな大きな口を、たたきながら、ホンとに愛する女子を一人、
幸せにはできなかった。おまえはそんなヤツになるな。
大業があっても、目の前の人を大切にする人になれ。

チュモンは黙って肯きます。その頃、チュモンの兄二人が、
この師匠を殺そうと宮廷から大軍を差し向けてました。
大軍に囲まれ、弓の一斉射撃で師匠は殺されてしまいます。

師匠!

チュモンは駆け寄ります。しかし師匠はチュモンの腕の中で
息を引き取りました。その後、山中深く武芸精進を続けたチュモン。
あの師匠が、実はヘモス将軍だったことを知らされます。
自分がヘモス将軍とユファの間にできた子であることも。
愕然としたチュモンはヨロヨロと歩きながら呟きます。

アボジ!

彼の声が山中に響き渡ります・・・
チュモンを演じたのはソン・イルグク。二十才前後のチュモンから
後の高句麗王まで演じ切りました。日本ではこの時代の歴史が
ほとんどなく、ドラマも作りようがありません。しかし韓国では、
伝説ではあっても、それに基づいてドラマを作ってしまうのでした。
そのバイタリティには驚くべきものがありますね。

光州5・18

1980年、カンジュ(光州)で市民と軍との衝突事件が発生。軍事政権を
しいてたチョン・ドファンの退陣を求めた市民のデモ隊に、軍が発砲。
大規模な銃撃戦が起き、多数の市民が犠牲となりました。
その事件を描いた映画です。

タクシー運転手ミヌは父親の代わりとして高校生の弟の面倒をみてます。
その弟が反政府デモに参加すると言い出し、ミヌは「身の危険があるから、
やめろ」と強く反対。しかし弟はデモに行ってしまいました。
五月十八日、デモ隊に軍が発砲したことをミヌは知ります。
弟も帰ってきませんでした。

ミヌは自分も反政府運動に加わろうと決意。ちょうど道庁の地下倉庫で
大量の武器が見つかりました。ミヌは他の市民たちと道庁にたてこもり、
光州を死守しようと誓い合いますが・・・

今も光州は反権力の雰囲気が強い街。地域対立の強い韓国では
光州のある全羅道は京畿道(ソウル)や慶尚道(プサン)から
差別されてきました。

キム・デジュンは全羅道の出身。彼は光州事件で内乱罪を適用され、
死刑を言い渡されます。しかしその後、釈放されました。
後に大統領になります。

ザ・スリングショット

2009年にKBSから放送されたドラマ。主演はパク・ヨンハ。
フリーターのキム・シンは、餃子屋を営んでいる兄の仕事を
手伝ってます。そんな彼のそばには、モデルに憧れてるギョンア。
お金のない二人ですが、それなりに幸福な日々。

ところが兄の餃子屋が風評被害にあい倒産。その兄も自殺。
しかもシンは、風評を引き起こしたのが巨大コンツェルン、チェ建設
だったことを知ります。彼はまず、風評を放送したマスコミに乗り込み
謝罪を求めますが、そこで逮捕され、刑務所へ送られます。

囚人となったシンのところへ恋人ギョンアが面会に来ました。
自殺した兄の借金で、残された兄家族が困っていると伝えます。

あたしが返すから。
どうやって?
それは聞かないで。もうあなたとも会えない。

ギョンアは泣きながら面会室を出て行きます。釈放後、シンはギョンアに
会いにいこうとしますが、彼女がソウル屈指のクラブで「ジェニー」という
売れっ子ホステスになってることを知ります。シンが会いに行っても
「もう住む世界が違う。」

あたしは今、一晩で1億ウォン(800万円)の女なのよ。
あなたにそんなお金、出せるの?

ギョンアは、シンの兄を陥れたチェ建設の御曹司、チェ・ドウの愛人に。
チェ・ドウは若き経営者として、都市計画を立て土地取得を進めます。
しかしその計画が住民を無視したもので、反対運動が起こりました。

シンは反対運動に飛び込み、巨大コンツェルンを相手に立ち向かいます。
主人公シンをパク・ヨンハが熱演。市民側に立つ運動家のシン。しかし、
市民たちはコンツェルンから良い条件を提示されると、一気にシンを
見放します。単なる勧善懲悪ドラマではありません。
その戸惑いまで、ヨンハは演じきりました。

恋人を取られても泣き言を言わず、今、自分のやるべきことに
集中したシン。ヨンハもそうすべきだったのに・・・

マイ・リトル・ブライド

2004年に封切られた韓国映画。原題は「幼い新婦」。大学生サンミンと
女子高生ボウンは兄妹のような幼馴染。相手のことをよく知ってます。

ところが、この二人が、おじいさん同士の約束により結婚することに。
儒教社会の韓国では、おじいさんの権威は絶対で、二人とも、
あれよあれよと言う間に結婚式を挙げてしまいました。

しかしボウンは女子高生。結婚のことは秘密にしておきたいのでした。
ところがボウンの高校に、なんとサンミンが教育実習生として赴任。
サンミンとの関係を周囲に必死で隠そうとするボウン。
女子高生らしく野球部のキャプテンに憧れてもいます。
この結婚の顛末は・・・

現実にはあり得ないストーリーですが、そこは韓国映画。それなりに
心温まるコメディーに仕上がってます。ストーリーが大きく展開する
この映画は、韓国でヒット。ラスト・シーンでサンミンが全校生の前で
語るセリフは、私が韓国語を勉強した時の教材にも出てました。


遊び人の大学生サンミンを演じたのは「屋根部屋のネコ」のキム・レウォン。
女子高生ボウンを演じたのは韓国の国民的アイドル、ムン・グニョン。

キム・レウォンはシリアスな役より、こういう遊び人の役がハマりますね。

ツツジの花

私を見るのがうとましくて 去られる時には
そっとキレイに お送りいたしましょう

寧辺に薬山のツツジの花
腕いっぱいに摘んで 行かれる道にまきましょう

行かれる一歩一歩に置かれたその花を
爽やかに踏みつけて行って下さい

私を見るのがうとましくて 去られる時には
死んでも涙は流しません

ソウルで地下鉄に乗ってると、窓ガラスに市民の詩が印刷されてたりします。
韓国人は詩を愛し、詩集を持ってる人もたくさん。その詩集に、
必ず収録されているのが、この「ツツジの花」。

縮小版5

女流詩人、キム・ソウォルの作品。時代はちょうど日本統治時代。
愛する人を失う、切ない女心が描かれます。しかし、涙はこぼすまい、
と決意。韓国女子の強さを見る思いです。

朝鮮半島で伝統的なアリラン。その中では「去っていくあなたを
引き留めはしない」というモチーフが何度も登場。
ちょうどこの詩も、その影響を強く受けてます。

君はどの星から来たの

2006年にMBCから放送されたドラマ。シリアスな場面もありますが、
基本的にはラブ・コメディ。若き映画監督スンヒは、次の映画を撮るために
江原道の田舎村に来ました。そこで、かつての恋人ヘスに
そっくりのポクシルという女子に出会います。

ポクシルは健康的で、服もダサい田舎女子。ポクシルという名前自体、
漢字で書けば「福実」となり、韓国語でもコミカルな響き。

スンヒが製作中の自分の映画についてポクシルに意見を求めたところ、
的を得た、辛辣な批評が彼女から返ってきます。

こんな田舎にいて、なんでそんなに映画のこと、よく知ってんだ?

スンヒがムッとして問い返すと。

あたし、映画は詳しいのよ。ここでは衛星放送も見れるし。
ケーブル放送もあるし。

スンヒは二の句がつげませんでした。スンヒにはヘスという恋人が
いたのですが、三年前、自分の運転で死なせてしまいました。
その記憶から抜け出せず、スンヒは映画製作にも
全身全霊を込めてはいません。

顔だけはヘスに似ていますが、性格も境遇も全く違うポクシルから、
スンヒは再び強く生きる力を、もらい始めます。ポクシルもソウルで
スンヒと一緒に働きたいと言い出しました。

ところが、そのポクシルは死んだヘスの実妹だったことが発覚。
姉ヘスの事故に責任のあるスンヒ。そのスンヒが今度は妹ポクシルを
好きになろうとは。周囲は猛反対。

主人公である若き映画監督スンヒにはキム・レウォン。
都会女子と田舎娘の二役を演じたのはチョン・リョウォン。

キム・レウォンは「屋根部屋のネコ」で、遊び人だけど優しいギョンミンを演じ、
話題を呼びました。彼は2008年「食客」で主人公の青年料理人を演じた後、
軍隊に行きました。

二役を演じたチョン・リョウォンは「私の名前はキムサムスン」で、
主人公サムスンの恋敵を演じています。二人の実力派俳優の
演技により、最後まで楽しく見れるドラマになってます。

唖のサムリョンイ

まだ両班(ヤンパン)があった頃のお話。あるヤンパンの家に
「サムリョンイ」という下男が住みこんでました。彼は口きけず、
意思を自由に表現できません。しかし、体が頑健で、
健康な彼は力仕事を何でもこなします。

家の主人の息子、これがヘタレ。その分、サムリョンイをことあるごとに
苛めます。サムリョンイの指間に爆竹はさんで火を点けたりも。
けれど、サムリョンイは耐えました。

オレはこの家しか知らない。この家以外で、オレは生きていけない。

彼は自分に言い聞かせます。しかも、自分を苛めている息子が
外で苛められた時、最初にしかえしに行くのはサムリョンイ。

そんな息子が花嫁をもらうことになりました。美人で控えめな花嫁が
来ます。近所の人は、新郎と新婦の不釣り合いを、陰で嘲笑。
その嘲笑は息子にも聞こえ、おもしろくなく、息子は花嫁に
暴力をふるい始めます。

サムリョンイは女子を知らず、花嫁を見た時、空の星かと思ったほど。
そんな花嫁に暴力ふるう息子を、全く理解できません。

ある日、花嫁が「仕事のお礼に」とサムリョンイに小物を与えます。
ところが、息子はそれを誤解し、激怒。「下男の分際で!」息子は
サムリョンイをしたたか殴りつけ、サムリョンイの顔から血が吹き出ます。

この家から出ていけ!

息子は他の下男に命じ、サムリョンイを追いだします。この家以外で
生きていけないサムリョンイは、口きけないながらも、身ぶりで
「これからも、一生懸命に仕事をします・・・」

聞きいれてもらえませんでした。サムリョンイは家を出ます。

夜ふけた頃、家から火が出ました。火は瞬くうちに燃え広がり、
家全体を包みます。多くの家人が叫びながら、門外へ飛び出す中、
燃えさかる家に飛びこむ男の姿。サムリョンイでした。

彼はまず息子を救出し、花嫁を探しました。いくつも部屋を探してるうちに、
力なくなってきます。最後の部屋で、花嫁を見つけましたが、彼女は床に
倒れたまま動けない状態。サムリョンイも駆けよりますが、それ以上、
動けません。

サムリョンイは静かに座り、花嫁を膝に抱きます。やはり、
花嫁は動きません。火は周囲で燃えさかってます。

オレは、ここで死ぬんだな。

しかし、そんな彼の顔には、柔らかな笑顔が浮かんでました。

日本統治時代に書かれた短編。韓国人なら、誰でも知ってる小説。
最初から最後まで屈従しいられるサムリョンイ。ヤンパン時代の下男は、
この状況。韓国文化の悲哀あふれる小説。

最後の火事、原因は何でしょうか? 小説では語られません。
ひょっとして、絶望したサムリョンイが、点けた火でしょうか?
それとも、サムリョンイ解雇とは関係ない、偶然の火事?

著者のナ・トヒャンは日本に留学経験ある、若き小説家。
しかし肺病により夭折しました。

春のワルツ

2006年にKBSから放送されたドラマ。ユン・ソクホ監督が手がけた
四季シリーズの最終作品。新進気鋭の男性ピアニストのジェハと、
フリーター女子ウニョンとの身分違いの恋がテーマ。

二人は実はずっと昔、ある島で幼い頃を一緒に過ごしたことが
ありました。体の弱かったウニョンには、その時に遊んでくれた
お兄ちゃん(オッパ)の思い出があります。

しかしオッパはある日急にいなくなり、彼の父親が自分の母親から
資金を巻き上げていたことが発覚。その資金はウニョンの心臓の手術代。
資金をもう一度工面するために、ウニョンの母親は無理をし、
ウニョンの手術は成功しますが、母親は死んでしまいます。

ウニョンの心には「自分が母親を死なせてしまった」という自責の念が
残っています。オッパについても、遊んでくれたのは楽しかったけど、
許してはいません。ところが、そのオッパがなんと、今、世間の脚光を
浴びているピアニスト・ジェハ。

彼は詐欺師の父親のもとを離れ、裕福な家庭の養子になり、
今や売れっ子ピアニストとして活躍。ですが、もちろん自分が見捨てた
妹を忘れていません。ウニョンとの会話の中で、ジェハも徐々に
目の前のウニョンが、あの島の妹らしいと分かってきました。

その時点で彼は別れを決意します。ですがその時、二人はどうしようもなく
惹かれ合っていたのでした。ウニョンも憧れのジェハが、あの時の
オッパだったと知り愕然。そして「あんたたち親子のせいで、
うちの母さんが死んだんだ」と叫びます。

一瞬でもあなたに、ときめいた、この心臓が恥ずかしい。

そう言って、泣きながら胸を叩きます。何度見ても泣けるシーン。
主人公ジェハには当時、全く無名だったソ・ドヨン。
ウニョンにはハン・ヒョジュ。二人が抜擢されました。

二人が幼い頃を過ごしたチョンサン島の美しい菜の花畑が印象的。
けなげなウニョンを演じたハン・ヒョジュはこのドラマで頭角を表し、
その後「華麗なる遺産」でも、貧しい女子が登りつめていく過程を
演じ切りました。現在、NHK放送中の時代劇「トンイ」でも、
主人公の女官を演じています。

三豊百貨店

主人公・女子「私」はソウル南山近くの女子校を卒業後、大学も出た
けれど就職先なく失業。南山(ナムサン)の国立図書館で時間つぶし。
家から近い江南の三豊百貨店にもよく足を運びます。

そんな時、三豊百貨店の婦人服・売り場で、高校の同級生"R"が
働いてることを発見。Rとは高校時代、特に親しかったわけでは
なかったけれど、久しぶりに会ってみると、お互いの良さが見え、
急速に親しくなります。

Rの部屋は南山麓にあり高校からも、とても近い場所。夜景のキレイな
部屋に案内してくれた彼女は「ヒマだったら、この部屋に来て」と、
私に鍵を渡します。「私が倒れてたら、あなた蘇生してね」とも。

「人手たりないから、手伝って」とRに言われ、私は一日だけ
三豊百貨店で働いてみました。制服きて慣れない接客しますが、
レジ打ちまちがいで、店に迷惑をかけてしまいます。

Rはそんな私を責めたりせず「この子は学生なんです」と嘘をつき、
私をかばい、その日は私を早く帰してくれました。

1995年6月29日。その日も、私は彼女の働く三豊百貨店にいました。
エアコン効いてないのか店内が異常に暑く、奇妙な音が店内に
響いてたこともあって、私は午後五時半すぎ店を出ました。

それから数分後、歩いて家に帰り、日記を開いて「今日は」と
書き始めた途端、轟音。三豊百貨店が完全崩壊。私もあと十分ほど
長く店内にいたら、巻きこまれてました。私は店内にいたはずの
Rから連絡を待ちますが・・・

チョン・イヒョンの「三豊百貨店」という小説。現実に基づいていて、
著者はその日、ホンとに三豊百貨店にいて、友人も失くしたようです。

死者・五百名以上、負傷者・九百名以上という、災害史上、未曽有の
犠牲者を出した三豊百貨店の崩壊事件。事件発生時、国を挙げての
救助隊が結成され、崩壊から十日経って救出された女性の話が
話題になりました。

韓国の発展は急激に過ぎました。、インフラ建設で手抜きが頻繁に
行われ、時々、このように理由なく建物が崩れたり、橋が落ちたりします。

冬のソナタ

2002年にKBSで放送されたドラマ。タイトルを直訳すれば「冬の恋歌」。
女子高生ユジンのもとに、ある日、影ある転校生チュンサンが現れます。
最初は反発し合っていた二人でしたが、次第に惹かれていきます。

何度かのデートを重ねた後、大晦日に会ってユジンに告白しようと
決心したチュンサン。しかし大晦日、彼は事故にあい、帰らぬ人に。

十年後、ユジンは小さな建設会社で働いていました。そばには幼馴染で
婚約者のサンヒョクがいます。そこへ死んだはずのチュンサン
そっくりのミニョンという実業家が現れます。

優しいサンヒョクを大事にしながらも、どうしようもなく運命的にミニョンに
惹かれていくユジン。その二人によって、やはり運命を
引き裂かれるサンヒョク。

チュンサン(ミニョン)を演じたペ・ヨンジュン。
ユジンを演じたチェ・ジウ。
サンヒョクを演じたパク・ヨンハ。

彼らの抜群の演技力とストーリーの意外性によって、韓国だけでなく
日本でも大ブレイクした作品。このドラマを見て韓国語の勉強を
始めた人も多かったことでしょう。

「過去が現在に入り込み現在と重なる」というモチーフは、西洋文化では
結構、よく使われています。プルーストの「失われた時をもとめて」など、
有名でしょう。

ですが、その免疫が全くなかった日本人は「過去と現在の共鳴」という、
このモチーフに簡単に心奪われ、メロメロにされてしまいました。

韓国の美しい風景。バックに流れる曲の美しさも手伝い、珠玉と言っていい
ドラマとなってます。何度見ても、飽きることがありません。恐らく、
多くの日本人にとって「人生のあの時期に見た」という
道標になってるドラマです。

ホテル・ヴィーナス

チョナン・カンが主演した映画。2004年に封切られました。
あるサビしい町のホテル「ヴィーナス」には、行き場のない人たちが
集まってきます。チョナン・カンも恋人をなくし、マフィアに殺されかけ、
どうしようもない状態で、このホテルに来て、ホテル雑用係に。

アル中の元医師。水商売で彼を支える妻。花屋を持つのが夢の娘。
部屋にあるピストルだけが自慢の少年・・・そこへ娘連れの男が現れ、
傷を舐め合うようなホテルの雰囲気が一変。父娘の登場によって、
それぞれがもう一度、自分を見つめ直します。

アル中の夫は妻に。

おまえ、あいつみたいな奴(娘連れの男)とくっついて、幸せになってくれ。

それを聞いて、妻が、その男とはくっつかず、一人でホテルを出ていく
シーンが泣かせます。妻はホテルを出ていく前の晩、いつになく、
はしゃいで、男が連れてきた女子と「一緒に食事しよう。」
そこに流れてくるイ・スヨンのバラード「ラララ」。

日本人、韓国人のキャストですが会話は全て韓国語。ロシア・
ウラジォストックで撮影され、無国籍な雰囲気に一役買ってます。
ピストル少年にはイ・ジュンギが起用され、キャストもそれなりの陣容。

ですが大きなストーリー展開がなく、韓国人には受けなかったよう。
韓国でも封切られましたが、すぐに打ち切られました。

英雄時代

2004年にMBCから放送されたドラマ。ヒョンデ(現代)の設立者チョン・
ジュヨン。サムスン(三星)の設立者イ・ビョンチョル。

この二人をモデルとしたストーリー。どちらかと言えば、チョン・ジュヨンに
力点が置かれ、話は日本統治時代から始まります。極貧の家庭で
長子として生まれたテサン(チョン・ジュヨン)が牛一頭売ったお金で、
京城(現・ソウル)に出てきて、自動車・修理工場を起こし、成功。

テサンはその後、大東亜戦争、朝鮮戦争をくぐり抜け、建設業へ進出。
パク・ジョンヒ政権下、独裁政治に翻弄されながらも、国内から海外へ
販路を広げ、建設だけでなく自動車、造船までコンツェルンを拡大。

サムスンも食品、衣料の商社から始まり、砂糖の生産で成功。
その後、日本の技術を使いながら、電気、半導体の分野に進出。

今の韓国を理解する上で欠かせない二大コンツェルン、ヒョンデとサムスン。
この二社がどう発展したかを、多少の脚色と誇張を混ぜながらも、再現。

朝鮮戦争の民間人・虐殺。サムスンの三粉・暴利事件・・・

恐らく韓国人もあまり知らない事件が描かれ、歴史認識を深めて
くれます。ところどころに出てくる当時のドキュメンタリー映像も、
プロットを支えます。

惜しむらくは百回の放送予定だったのが七十回で終わったこと。
パク・ジョンヒ政権の崩壊が見れないのです。チョン・ジュヨンを後継した
イ・ミョンバク(現・大統領)。イ・ビョンチョルの後を継いだイ・ゴンヒ
(現・サムスン会長)。彼らも描かれるはずだったのですが、
叶わなくなりました。

あまりに現代と関わり合うため、ドラマ継続に政治圧力がかかったと
言われてます。ヒョンデのチョン名誉会長は、ドラマで語られたように
牛一頭売って、現在の北朝鮮からソウルに出てきて成功。

実務を退いた後、政界に進出。1992年の大統領選挙でキム・ヨンサムに
破れます。その後1999年、千一頭の牛を北朝鮮に連れていき、北に
恩返しをしたそうです。それは南北間の対話を生み、2000年の
キム・デジュン大統領のピョンヤン訪問につながりました。

あなたは知らない

2009年に発表された長編小説。ソウルの上流家庭が舞台で父、母、姉、兄、
そして年の離れた妹ユチの五人家族。不自由ない家庭でしたが、
ある日曜日、一番下のユチがいなくなり、そこから家族の内面が
描かれていきます。

高収入を得てるようでいて、実は中国での臓器売買に手を染めている父。
台湾出身で、台北にいる初恋のミンと今も連絡を取り合ってる後妻の母。
恋人と別れたばかりで、何もすることがなく、自分を見失ってる姉。
医大に通ってるが、今ひとつ自信なく、恋人とも分かり合えない兄。

父親は自分の仕事が仕事だけに、警察に捜査依頼を出せず、
私的探偵を雇ってユチを探し出そうとします。ところが私的探偵の調査が
遅々として進まず、最後には兄が独断で警察に通報します。
ユチ失踪の結末は・・・

ユチ失踪を家族それぞれの視点から描いています。文学ではよくある
手法ですが、このテーマでは、その手法がよく効いています。
五百ページ近くの長編ですが、ミステリーになってて面白く、
一気に読める作品に仕上がってます。

1縮小版

著者のチョン・イヒョンは現代の韓国を代表する若手の女流作家。
女子の視点から現実を鋭く抉り出す描写には、定評があります。

屋根部屋のネコ(2)

「屋根部屋のネコ」が撮影された「オクタッパン」(屋根部屋)は
今も存在しています。漢江(ハンガン)近く、イデウォンにあります。

イデウォン駅を出て、家具屋が並ぶ通りをしばらく歩き、
左に曲がります。するとドラマにも出てきた「サンゴリ・マート」。
ここで、ジョンウンが、パイン・アイスを二つ買ってましたね。

左に曲がると、右にオクタッパン。そう。「屋根部屋のネコ」の
舞台となったあの場所。ただし実物はドラマで見るより小さい建物。
ジョンウンとギョンミンが出入りしていた門も閉じられてます。
誰も住んでないようでした。

われらの歪んだ英雄

ソウルから田舎町に引っ越してきた「私」が主人公。中学生・男子。
彼は新しいクラスになじめません。クラスでは「ソクテ」という勉強でき、
体が大きく、先生の信頼も厚い委員長が支配。彼は初日から、
委員長ソクテの命令を聞かず、クラス全員がやってる、
ソクテへの給仕も拒否。

仲間外れにされ、居場所のなくなった彼は、大掃除の日、自分に
割り当てられた窓掃除を必死にやってました。けれど、委員長ソクテに
言いがかりつけられ、何度も拭き直しを命じられます。

泣きながら掃除を続けていた彼に、ソクテが「よし、よくやった。合格!」
優しい言葉をかけてくれました。その瞬間、彼は号泣。ソクテ配下に
入ります。ソクテ王国のNo.2。それなりの権力を持ちます。

ところが、完全無欠に見えるソクテの大きな秘密を、彼は知ります。
学年でも抜群の成績を取ってたソクテが、実はクラスの優等生たちに
命じ、自分の答案を書かせてたのでした。けれど発覚することなく、
ソクテ頂点とする王国秩序はシッカリ保たれました。

そんな王国も、若く正義感あふれる担任教員の赴任により一変。
担任教師はソクテのカンニングをいち早く見抜き、ソクテを教壇で
四つんばいにさせ、尻を棒で叩きます。

痛みに呻き声あげるソクテ。惨めな彼の姿を、誰も想像したことすら、
ありませんでした。そして、この新教員の下では、権力は先生にあり、
ソクテにないことを悟ります。

そして教員に促され、一人一人、ソクテの悪業を述べたてます。告発は
エスカレートし、最後に「コイツ」「キサマ」という言葉が飛び出しました。
けれど、ソクテの悪業について聞かれた時、私だけ「よく知りません。」

ソクテは学校に来なくなり、私も一流中、高、大と進学する中、ソクテを
考えなくなりました。ただ、一流会社に就職し、家庭を持ったものの、
人生に疑問を持つようになってから、私の中に再び、
ソクテが浮かびあがるようになりました。

強いリーダーシップで仲間を引っぱり、優しい面もあった独裁者ソクテ。
あいつは、今もどこかで委員長をやってるに違いない。自分の王国を
作ってるに違いない。いや、そうあってほしい・・・

ソウル離れ、妻つれての小旅行の途中。小さな駅。私はサングラスを
かけた男がプラットフォームで、私服刑事・二人に取りおさえられる場面に
出くわします。暴れる男を刑事がなぐりつけ、サングラスが吹っとびました。

取りおさえられた男は、ソクテでした。何十年会ってなくても、
まちがうはずありません・・・

著者のイ・ムニョルは、政治色の強い小説を発表し続け、常に韓国社会の
論議の的となってきました。この作品も、小学校の単なる思い出というより、
イ・スンマン政権、パク・ジョンヒ政権へのアレゴリー。

この小説の一部は、韓国の小学校・教科書にも収録。
私も、韓国語レベル、中級になった時、
この小説を教材に使いました。

私の名前はキムサムスン

2005年にMBCから放送されたラブ・コメディ。パティシエ
(ケーキ職人)サムスンが、ホテル所有者の御曹司サムシクの下で
働くことになりました。親の結婚話を断りたいサムシクは、
太めのサムスンに目をつけ、契約恋愛を申し込みます。

トンデモナイ契約ですが、ちょうど実家の都合で、お金に困っていた
サムスンは、この契約に乗らざるをえず、五千万ウォンを手にしました。
二人は契約上、恋人となりました。

ところが契約恋愛のはずが、二人とも相手なしではいられない状況に・・・
身分違いの恋の、不確かさを聞かれたサムシクが言います。

人は死ぬと分かってても生きるよね。それと同じように、
別れると決まってても、付き合ったりするんだよ。

このセリフのために、このドラマはあるようなものでしょう。
太めだけど魅力的なサムスンを演じたキム・ソナの演技が
話題になりました。王子役のヒョンビンも、このドラマで
スターダムにのし上がります。

このドラマの放送後、韓国では年下男性を籠絡する「アジュンマ」
(おばさん)が、脚光を浴びるようになったとか。

チェリ

女子大生の「私」が先輩女子に連れられて、三人で行ったホストクラブ。
「チェリ」(源氏名)に出会います。チェリはおとなしそうな青年。彼女は最初、
のり気でありませんでしたが、徐々に彼に惹かれていきます。

チェリと体の関係を結びますが、彼女にはカンという男友達も。
とはいえ、カンのことも好きというより、「お酒を飲んだ後、
一人の家に帰りたくない」という理由で付き合ってます。

ある時、カンとのセックスの後、カンがシャワーを浴びている間、
彼女は彼のブランド時計を盗み、それをチェリにプレゼントします。
チェリが「ブランド時計がほしい」と言ってるのを聞いてたから。

しかし、少しも経たないうちにチェリは、その時計を
はめてこなくなりました。私が問い詰めると。

あ、あれ? 失くしちゃった。
誰かホスト仲間が、取ったのかもしれない。

彼女の思いはチェリに全く届いてませんでした。とはいえ彼女。
チェリから何を望んでたわけでもありません。

「芸能人になりたい」という夢を語るチェリ。けれど、全く不可能とも
知ってます。ホストは競争が激しく、生き残れるのはホンの一握り。
「オレなんか、ホストでも成功できない」とチェリは漏らします。

指名がたくさん取れる先輩たちは、店から優遇され、給料も上がり、
整形して、もっとカッコよくなる。運よければ、その頃、芸能界からの
話も来るんだよ。けど、オレみたいなレベルのホストは、
店にとっても、どうでもいい存在なんだ。

彼女は、そんなチェリをどうすることもできません。もちろんカンからも、
別れを告げられます。一人になった彼女。

私が必死の思いで抱きしめてたのは、チェリでもカンでもなく、
自分自身だったのかもしれない・・・

3縮小版

酒と性の世界。欺瞞なく描き切った点で、出色の作品。今、韓国に行けば、
どこの本屋でも平積みで置いてあります。著者キム・ヘナは、この作品で
2010年の「今日の作家賞」を受賞、文壇デビューしました。

屋根部屋のネコ

2003年にMBCで放送されたドラマ。「屋根部屋」(オクタッパン)
に住むフリーター女子ジョンウンの部屋に、司法試験・勉強中の
男子ギョンミンが、ふとしたことから転がり込むお話。

好きになっていくと同時に、冷たい言葉をかけてしまう二人。
けれど相手がいなくなった途端、サビしくなる二人。

ホンとに大事な人のこと、そばにいる時は分からないんだ。

そんな言葉が語られます。男子ギョンミンには、憧れの女子
ヘウォンがいます。けれど一緒に住む羽目になったのはジョンウン。

そのジョンウンの前でギョンミンは、自分がどれほどヘウォンを
好きかを見せつけます。けれど心のどこかでは
ジョンウンを気にしているのでした。

あんまり失礼なことばかりして、女子ジョンウンから
「出てけ」と言われたギョンミン。彼がホンとに出て行った後、
一人、オクタッパンに帰ったジョンウン。

鍵のかかった暗い部屋に入って行く時の描写は、さすが韓ドラ。
そのシーンだけで泣かせます。ジョンウンもいつしか
遊び人のギョンミンを愛し始めていたのでした。

二人とも成長し、大人になっていく過程がシッカリ描かれます。
ジョンウンは広告会社の正社員に。
ギョンミンは司法試験に合格して検事に。

けれど二人の心には、いつも一緒に暮らしたオクタッパン。
その屋根部屋で、偶然もう一度再会した二人は・・・

美人じゃないけど、生活力あるジョンウンを演じたのはチョン・ダビン。
遊び人だけど、性根は優しいギョンミンを演じたのは、キム・レウォン。

彼らの体当たりの演技が光りました。このドラマはソウルで
社会現象となり、放送後、オクタッパンで同居するカップルが
急増したそうです。

今もソウルには数万世帯がオクタッパンに住んでます。
夏は暑く冬は寒いオクタッパン。そこに暮らしている人は、
たいてい貧しい人たち。そこに住んでる理由も「安いから」。
キラキラしたドラマの背景には、そんな現実があります。
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Author:ゆめラジオ
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